OBLIVIONプレイ日記~Darker than Darkness~

OBLIVIONのロールプレイ日記と小ネタがメインです。
BUCK-TICKを愛して止まないので作中にBUCK-TICK語録が多数出てきますが、BUCK-TICKとは何の関係もありません。

ここに該当する記事はありません。

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Messiah of the Darkness 第9話 ~Lockpickの使い方~ 

森閑とした雑木林を抜けた先に佇む壮麗な一軒家を発見したときは、既に日は落ちていた。
村の宿で一晩休息を取り村を発ったのは朝方だったが、道のりをある程度Leonから聞いていたとは言え、樹木の生い茂る森の中では道しるべがあるはずもなく、思いのほか時間が掛かってしまった。

 

表札はないが、ここがDr.Lobectoの家と見て間違いないだろう。
夜風に吹かれ、きしきしと音を立てている鉄製の格子戸が、妙な不気味さを装っている。

 

錆付いた格子戸を開け、敷地内へと進入する。

手入れのなされていない木々や草は、その建物を飲み込まんばかりに侵食し、塀や建物の壁面の隙間を苗床に、蔦が随所に伸びている。
このまま放置していれば、やがてこの建物は森と同化してしまいそうな、そんな勢いすら感じさせる光景は、私にある植物を連想させた。

Strangler Tree(ストラングラー・ツリー)。
"絞め殺しの木"と呼ばれるそれは大木に幹を巻きつけ、まるで触手でも伸ばすかのように次第にその表面を覆っていく。
幹が完全に木を覆うと、絡みつかれた木は日光が当たらなくなり、やがては枯死し朽ち果てる。
だがStrangler Treeは、取り込んだ木が崩れ落ちても尚、その形状を保ったまま聳え続ける。

この家はまさに、Strangler Treeに侵食されからっぽにされた大木の如く、外見は保っていてもまるで中の気配を感じさせず、禍々しいまでの寂寥感を醸し出している。
そしてそれは、人の外見を変えずに中身を抜き去るDr.Lobecto本人の家にとって相応しいと、妙な関心を抱かせるものだった。

 

建物の入り口へと足を踏み出すと、何かを踏みつける感覚が伝わってきた。
木の小枝のような感触だが、それよりもやや硬さを感じる。

地面に目を向けると、私が踏みつけたのはLockpickだった。
入り口付近に散乱している。
それは捨てたと言うよりも、落としたという表現が合っている。

このような場所なら目撃者は皆無であり、盗賊も作業がしやすいのは頷けるが、盗賊がわざわざこんなところまで出向くとは考えにくい。
それとも旅途中の冒険者が興味本位の侵入を試みたか、もしくは休息を求め不在の宅に押し入ろうとしたか。

にわかに思考を巡らせていたが現状で回答を得るのは不可能だと判断し、考えるのをやめる。
今はDr.Lobectoに会うことが先決だ。

 

ドアには鍵が掛かっている。

私がアサシンギルドで活動していた頃は、目撃されずにターゲットを始末することを念頭に置いていたために家内に進入する際は細心の注意を払っていたが、今回は家主に会うことが目的なのでその必要はない。
堂々とドアをノックして呼びかける。
しかし返事はない。

物音は一切聞こえず、人の気配も感じない。
留守なのか、もしくはこの時間なら寝ている可能性もあるが、向こうから姿を現すまで待っていられるほど私の気は長くはない。
不法侵入となるが、解錠して強引に押し入る事にする。
あいにく、解錠の道具なら地面に山ほど落ちている。

 

まだ腕は鈍っていないようだ。
長らくLockpickとは無縁の生活をしていたが、体がその動きを覚えていたのか、容易に解錠は成功した。

室内は、その外観からは想像も付かないほど整っている。
少なくとも最近まで手を加えられた形跡があり、間違いなくこの建物には人が住んでいるようだ。

 

食卓には大人数で囲む長いテーブルの上に、食器が並べられている。
一人で暮らすには少々広すぎる上、この食器の数も不自然だ。
患者か、もしくは助手のようなものが一緒に生活している可能性がある。

だが、だとしたらその彼らの一人も見当たらないとはどういうことだろうか。

 

一通り室内を回ってみたが、特に変わった様子はなく、また人の気配もない。
1Fの散策を済ませ階段から上層へ上がる。

 

階段を登りきるとすぐに、狭いながらも程よく纏められた書斎と思われる空間が姿を現す。
Dr.lobectoの書斎だとしたら、何か情報を得られるかもしれない。

デスクに近づくと、そこで再びあるものを発見した。
それはLockpick。
デスクの上に数本のLockpickが置かれている。
やはり外に散乱していたには何か意味があるのかもしれない。

注意深く観察していると、外に落ちていたものとここに置かれているものの決定的な違いに気付いた。
それはLockpickの先端。
通常は鍵の凹凸を模した形状になっているが、ここに置かれているLockpickは、鑢か何かで削られたのか、先端が針のように尖っている。
それだけではなく、全体的に鋭利な形状に加工されており、医療用のナイフには遠く及ばないものの、やわらかい皮膚ならば簡単に傷つけることが可能だろう。

Dr.Lobectoはまさかこの加工されたLockpickを使って何らかの外科的手術を行っているのだろうか。

だがにわかに湧き上がった疑問は、すぐに解決することになる。
それはDr.Lobectoが書き記したと思われる、"治療"の概要と思しき簡易的なメモだった。

 

 

『シナプス結合線維群の異常により生ずるという仮説に基づく精神疾患に対する対応』

『前頭葉とその他の皮質を繋ぐ連絡繊維を切断しシナプス異常の発生元を切り離ことで、論理的に精神疾患の治療は可能。』

『治療には加工したLockpickを用いる。 触れただけで皮膚が切れてしまう医療用ナイフでは不本意に脳を傷つけてしまう恐れがあるため、サイズ・重量・強度などの面から力の加減で切断をコントロールできるLockpickナイフは最も手術に適しており、また眼窩の骨の間から切断部に到達し切除することで、外部に傷跡を残すことなく短時間で治療が行えるメリットがある。』

『治療後、多くの場合不可逆的な人格の変化が見られたが、切除した連絡繊維の再結合を促すことで元に戻ると考えられる。』

『緻密な症例観察、術前・術後の対比を、患者個人単位で行う必要あり。』

 

 

 

マリウソの言った"精神外科"という言葉をはじめて理解する。
心の発生源が脳にあるとするならば、脳に外科的手術を施すことで患部を直接治療する。

散乱しているLockpickはそのための道具。
眼窩から先端を挿入して前頭葉の切除を行うということだが、そのやり方では頭蓋骨を透視でもしない限り、言わば手探りの作業ということになる。
そもそも前頭葉は、人間が人間足りえるために重要な知的活動を司る部分であるとされており、今現在を以ってその全貌は明らかにされていない。
そのような未知の領域に手を加えれば当然予測の付かない自体が引き起こされるであろう事は承知のはずだが、それでも強引に切除してしまうとは、人の命を救うべき医者の務めとは思えない。

それに"不可逆的な人格の変化"については本人も認識しているようだ。
それでも尚この危険な手術を続けているとなると、もはや治療とは呼べぬ、実験だ。
Dr.Lobectoを突き動かしているものは一体。

 

 

 

 

 

全ての部屋の散策が終わったが、結局人らしき気配を見つけることは出来なかった。
残る扉は一つ。

 

構造的に考えて、この先は裏口として外に繋がっていると考えていたために無視していたが、実際は外観を全て確認したわけではないから何とも言えない。
かつ、風の音や外の空気が流れ込んでくることもなく、ともすればこの先にも部屋がある可能性は高い。

おもむろに、扉を開ける。
外の空気とは別の、何か冷たい空気が流れてくるのを感じた。

 

扉を開けると、そこには薄暗い通路が続いていた。
通路の両脇には規則的に扉が並んでおり、まるで重篤神経症患者を閉じ込めておく隔離病棟を思わせる。

奥からは僅かに奇妙な物音。
木槌で釘を軽く打ち付けるような音が、律動的に薄暗い通路に響いている。

 

歩みを進めると、扉の中からいくつかの顔が覗いていた。
恐らくDr.Lobectoが手に掛けた患者たちだ。
その瞳は虚ろで、表情はない。
私を不審者として警戒しているのか、それともただの興味か、通過する私から視線を逸らすことなく、ただひたすら見つめている。

 

だが彼らには既に心が存在せず、恐怖も興味も感じることはない。
彼らの行動は総じて、本能的な反射による現象に過ぎないのかもしれない。

 

他の部屋には、死んだようにベッドに横たわる者や、虚空を見つめながらわけの分からない言葉を延々とつぶやく者。
一見して普通ではないことは明らかだ。

彼らが自ら治療を申し出たのか、Dr.Lobectoの誘いによるものなのかは分からないが、超えてはならない一線を越えてしまった者の悲惨な末路。
どちらにせよこの惨状を作り上げたDr.Lobectoは、Tomyには申し訳ないが決して善人とは呼べない人物であることは明らかだ。
その理由が本当に人々を救う事であったとしても。

 

抜け殻となった哀れな者たちの空虚な視線を潜り抜け、通路の最も奥に位置する扉へ向かう。

 

奇妙な音はこの中から響いてきている。
そしてそれは、Lockpickを患者の脳に打ち付けているときに発せられるものに他ならない。
Leonの言った"啄木鳥"というのは、この時の音が神経回路に残存し、幻聴として現れたものだろう。

この音が聞こえるということは、今まさに治療の最中であり、この奥に間違いなくDr.Lobectoがいるということ。
私は意に介さず扉を開けた。

 

殺風景な部屋の中央にベッドが一つ。
そこに寝かされている男と、その者に何かをしている男の姿。
頭部付近に、何かを打ち付けているようだが、影になっていてはっきり見ることは出来ない。
寝かされている男は全身麻酔を掛けられているのか、まるで微動だにしない。

 

「・・・お前が金品を奪いに来た族にしろ、私の治療に異議申し立てをしにきた者にしろ・・・、今はそこで大人しくしていて欲しい。 患者の命に関わるのでな・・・」

作業を続けながら男は呟いた。

見たところ、最低限の物資のみで医療器具のようなものはいっさい置かれていない。
本当に木槌とLockpickのみで治療を行っているようだ。
・・・とんだ常識外れの医者もいたものだ。

やがて作業が終わったのか、男は小さく息をついた。

 

「お前が精神外科医、Dr.Lobecto本人で間違いないな」

 

「如何にも――」

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2010.07.24 Sat. 01:43 -edit- Trackback 0 / Comment 5

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Messiah of the Darkness 第8話 ~価値~ 

「ロベクトの居場所を教えてやる」

 

「知っていたのか」

「見つけたのはつい最近だがな」

これだけDr.Lobectoに対して敵意を抱いているこの男であれば、居場所が分かればすぐにでも乗り込んでおかしくはない。
だが現時点ではそのような様子は見られない。
それだけに、居場所を知っているのは意外だった。

 

「お前も知っての通り、俺は奴を心底憎んでいる。 出来ればこの俺の手で奴を葬ってやりたい。
そのために、何年も奴を捜し求めてきたんだ。 俺にはその権利があると自負している。
だからこそ、先日訪れた帝国のガードにも、お前にもそのことは黙っていた。
Lobectoが捕まるにしろ殺されるにしろ、俺の手の届かないところへ行ってしまわれては困るからな。

つまり、俺だけが奴の根城を把握している今、俺の意思一つで奴の運命を左右できる、まさに理想的な状況となった。 しかし・・・」

男の顔がにわかに曇りだす。

「今になって迷いが生じている」

そう言うと、男は少年が去った先に目線を送る。

「お前も聞いただろう。 先ほどのあの子の言葉を。
どういうわけかあの子は、Lobectoに絶対的な信頼を置いている。
自らや母親が犠牲になったにも関わらずだ。

病から救われた反動か、それともLobectoが要らんことをあの子にしたのかは分からない。
無論、俺は奴がメシアなどとは微塵も思っていないが、あの子の言葉が俺を惑わせる。
いや、実際にLobectoの治療を受けたあの子の言葉だからこそ、背中に重くのしかかってくるんだ・・・!」

男は拳を強く握りしめた。

「もし奴があの子のいうように、本当に人々を救おうとしているのだとしたら・・・、ロベクトが悪ではないとしたら・・・!」

 

「俺はこの怒りを何処へ向ければいい?
親友の人生を奪われ、ただ奴への復讐のために生きてきた憎しみと悲しみはどうすればいい?!

俺は自問自答を繰り返した。
いかなる理由があるにせよ、親友を抜け殻にされた事実は揺ぎ無い。
奴は悪だ! 躊躇する必要などない・・・!」

 

「だが、ある時気が付いた。 俺は己の復讐を全うせんが為に、無理やり奴を悪だと思い込もうとしている。 奴が悪であることを頑ななまでに切望しているということに!
追い求めた奴が今まさに手の届く範囲にいるというのに、望まない真実を突きつけられることを恐れ、ここで燻っていることしかできない・・・!」

 

「だからこそ、お前に頼みたい。 真実を知るためにもな」

男の目はまっすぐだった。
己の気持ちと少年の言葉の板ばさみにあい、まさに身動きがとれなくなっていた男が今、迷いを打ち払い真実に向き合う覚悟を決めていた。

「悲しいが俺は、奴を目の前にして冷静でいられる自信がない。 例えどのような結果であったとしてもな。 それよりも第三者であるお前の方がより的確な判断が出来るだろう」

己を憂い、嘆くように男は言った。

 

「請うに及ばない。 元より私の目的はその真実を探ること」

「そうだったな。 不思議なことに、先ほどまでは鼻に付いたその態度も、今では頼もしささえ感じる」

 

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「それとこの事はあの子には黙っておいてもらいたい。 真実は時に残酷だ。 Lobectoが何者であれ、あの子の母親が今だ戻らないということは、生死に関係なく決して喜べるような結果ではないだろう。
あの子は自分のせいで母親がおかしくなってしまったと、今でも自分を責めている。
もし二度と戻ってこないと知ったら、自責の念に囚われたまま永遠に抜け出すことは出来ないかもしれないんだ」

 

 

 

 

「Leon、ごめん・・・。 僕、知らなかったよ。 僕のせいでLeonがそんなに苦しんでいたなんて・・・」

 

「これは俺の問題だ。 お前の話を受け入れられなかった俺の心の弱さが原因。
お前は決して悪くない。 だから気にするんじゃないぞ」

 

「お姉ちゃん、僕からもお願い。 先生がいい人なのか悪い人なのか、僕もはっきり知りたい!
僕はまだ子供だけど、でも、母さんがどんな事になっていても、ちゃんと向き合えるから・・・!
だからお願い、Leonを助けてあげて・・・!」

 

「私に出来るのはただ真実を知ることであり、変えることではない。 よっって必ずしもお前たちの望む結果になるという保障は出来ない」

 

「分かっている。 だが何も知らずに悩み続けるくらいなら、いっそ全てを知ったほうが心の突っかかりも取れ、すっきりする」

 

 

 

「お前は最初に言った。 "この仕事に生きがいを見出せるのか"と。
私は知的欲求と報酬のためにこの仕事を引き受けた。 到底、生きがいを見出すに値するものではない。 だが――」

 

「価値は見出した。 速やかに、行動に移る」

 

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2010.07.12 Mon. 17:04 -edit- Trackback 0 / Comment 2

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Messiah of the Darkness 第7話 ~交錯~ 

 

「ねぇ、Leon・・・。 今、目の前に、女の人がいるんだ。 羽が生えていて、角もある。 僕を見てる・・・」

私から目線を逸らさないまま、少年は震える声で男に言った。
私は少年の言葉の意味が理解できず困惑する。

私の容姿に怯えるのは分からないでもない。
だが、この状況であれば男は既に私と接触済みなのは一目瞭然であり、一見すれば分かる事実をわざわざ情報として男に伝える意図が見えない。
だが男はその言葉の意味をいち早く悟ったようだ。

「安心しろ、"俺にも見えている"」

男の言葉を聞いて私もようやく理解した。
つまり少年は、正体不明の私の姿を見て幻覚ではないかと誤解したようだ。
元々、精神分裂病の影響によって幻覚と現実を同時に見てきた少年にとっては無理のないことかもしれない。

現実とは、人間の"共通した認識"によって構成される知覚の世界であり、言わば脳が世界を作り上げている。
だがこの少年は、病により個人的な知覚を有する主観症状が現れており、それは他人には認識不可能であっても、当人にとっては脳が作り上げる紛れもない現実である。
無論目に見える相手が幻覚であったとしても対話は可能であり、触れれば感触もある。
それ故に、当人自身が虚像と現実を区別するのは至難の業だ。

少年はそれを明確に判断するために、第三者であるLeonに尋ねた。
そしてLeonの言葉を聞いて、私が個人的知覚による幻覚ではなく、共通に認識される存在、つまり現実として理解したはずだ。

 

「そろそろ自分に自信を持ったらどうだ。 お前は病を自ら払拭したんだ。 目に見えるものは現実、幻覚などではない」

男が少年の肩に手を掻け諭すように言うと、私に向き直る。

「失礼したな。 お前の姿に少々動揺したようだが、悪気はないんだ」

「ごめんなさい。 ちょっとビックリしたんだ・・・」

愛想のない男の謝罪の後に少年が続ける。

「この程度のことで詫びる必要はない」

 

 

 

「しかし、随分遅かったな。 遊びに行くのは構わんが、暗くなる前には帰れと行っただろう。 村の周辺とはいえ、いつまたLobectoのような変質者が現れないとも限らん」

 

 

 

「紹介しよう、この子はTomy(トミー)。 精神分裂病を患いLobectoの治療を受け、一時的に皆と同じく廃人と化したものの、現在はこの通り正気を取り戻した。 見た目によらず、強い精神力を持った男だ」

 

 

 

 

「先ほどから気になっていたが、なぜその子の母親はこの場にいない」

日記を読む限りでは、母親は息子を溺愛していた。
その息子を置き去りにして姿を消したのは何か理由があるはず。

男は少年に視線を向ける。
本人の手前、他人の事情を勝手に話すわけにもいかないという判断だろう。
それは少年に同意を求める意味が含まれていた。

「僕の・・・母さんのことを、知りたいの?」

困惑顔で少年が口を開く。

「正確にはDr.Lobectoのことだ。 訳あって私は今Dr.Lobectoの素性を調査している。 彼に関連性のあることなら話して欲しい」

今度は少年がLeonに視線を向けると、Leonは無言で頷いた。
それを確認した少年が、徐に口を開く。

 

「母さんは、僕の看病疲れでノイローゼになっちゃったんだ。 治療で病気が治ったはずの僕がいつまで経っても元気にならないで、それどころか動くのも何だか辛くなって、そのうち何も考えられなくなって・・・。 だから、母さんは・・・」

「心中を決意した」

思い出したくない過去に口ごもる少年の後に、男が言葉を付け足した。

「幸い、鬼気迫った表情の彼女を見かけた村人が、様子を伺いに部屋へ入ってきたことで惨事は免れたが、彼女はほぼ半狂乱に陥っていた。 そしてそこに現れたのが・・・」

「Dr.Lobectoか」

「その通り。 おれはその頃まだこの村には来ていなかったから止めることは出来なかった。 また村人たちも、まだ奴の所業について詳しく知らなかったのだろう。 同時に狂乱の彼女をどう扱えばいいのか分からず、結局Lobectoに預けることとなった。
それから彼女は戻ってきていない。 運がよければまだ奴の研究所にいるはずだが、奴の目的が分からん以上想像が付かない。
最悪の場合・・・」

そういって男は言葉を止める。
視線の先には、男の言葉の先を理解し悲しみと恐怖によって涙を浮かべる少年の姿。
すまない、そう呟く男に対し首を横に振る少年。

「大丈夫。 母さんはきっと元気になって帰ってくるよ。
それに、僕はみんなが言うほど先生が悪い人だとは思えない。 むしろ、先生は本当に病気の人を救いたいって願ってると思うんだ」

気丈に笑顔を振舞う少年の言葉に、男は顔をしかめた。

「お前がそう思いたいのは分かる。 お前は心を取り戻したと同時に精神病も克服した。 そのためあたかもLobectoの治療によって回復したと錯覚してしまうのも無理はない。 だが・・・!」

男の口調がやや強くなる。

「それなら他の者も立ち直ってしかるべき。 だが俺の知る限り殆どの人間は抜け殻の状態のまま放置されている。 俺の親友もな・・・。
お前が回復したのは単に運が良かったか、もしくは子供ゆえにLobectoが情けをかけたかのどちらかだろう」

 

「そんなことない! だって、先生はとても優しかったから。 全く反応しない僕に毎日話しかけてくれた。
あの時は何も感じなかったけど、でも先生の話を聞いているうちに徐々に何かが芽生えてきていたんだ。
それに先生は言ってた。 魔女狩りや宗教裁判で免罪にも関わらずひどい目に合わされてきた可愛そうな人たちを救いたいって、本当の悪魔をみやぶるんだって!」

 

「つまらんことを吹き込まれたようだな。 なるほど、お前を助けたのは奴自信を崇拝する信者を作り上げるためか。 心を取り上げるのはマインドコントロールしやすいようにするためとも考えられる。 くそ、Lobectoめ・・・!」

 

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話が交錯している。
男の話を聞く限りでは、Dr.Lobectoは狂人、或いは何らかの理由によって人々の魂を奪う悪魔という印象が強いが、それはLeonの主観が少なからず介入していることは承知している。
だがそれを省いて鑑みても、Dr.Lobectoがメシアや聖人である要素は、Dr.Lobectoが口にしたとされる「人々を救いたい」という発言意外では今のところは皆無だ。
そして、現に殺意を抱くものまで現れており、Dr.Lobectoがその発言内容を実行しているようには感じられない。

しかし、"治療"によって正常にまで回復した少年は、彼は悪人ではないと言う。

現段階で予測可能な、廃人にされたものとこの少年の明らかな違い、それは年齢的なものだ。
それによって治療の結果に差異が生じているのは恐らく間違いはないはずだが、その差異はどこからくるものか。

1つは、Dr.Lobecto自身の問題。
Leonの言うように、相手が幼い少年ゆえに情けをかけたのか、もしくはマインドコントロールの線も考えられないわけではない。
先入観のない幼少期であればなおさら容易だ。

もう一つは、治療を受けた側であるTomyの問題。
Tomyが他の者たちと同じ治療を受けたと仮定するならば、彼だけが正常に回復した理由とは如何なるものか。
大人と子供の違い、比較要素が多すぎて限定はほぼ不可能。
Dr.Lobectoの施した治療がどのようなものなのか分かればある程度絞り込めるが、現時点ではそれを知る術はない。

結局は、直接本人に会って確かめる以外はなさそうだ。
問題は、その本人が何処にいるかだが・・・。

 

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しばしの間、男は険悪な顔つきで深く目を閉じていた。
少なからず愛すべき対象である少年が発する、憎むべき相手であるLobectoに対する敬慕の念が男の心のバランスを崩し、どうしていいのか分からないのだろう。

やがて小さなため息を付くと、静かに口を開いた。

「Tomy、お前は優しい子だ。 自分のせいで母に病を背負わせてしまったという自責の念と、自分が救われたという想いから、真実を見誤っているのだろう。
そのため、本来憎むべき相手であるLobectoに救いを求めてしまっているんだ」

 

 

 

「さて・・・」

 

「Tomy、お前は奥へ行っていろ。 俺は少しこのお姉さんと話があるんでな」

「え・・・、う、うん」

一瞬、決意に満ちた表情浮かべ、男は少年を促した。
唐突とも言える呼びかけに少年は多少困惑しつつも、その表情から何かを読み取ったのか素直に従う。

 

「準備は出来ているか?」

 

「Lobectoの居場所を教えてやる」

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2010.07.05 Mon. 15:09 -edit- Trackback 0 / Comment 8

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